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「見損なった」
神父さまに頬を張られて鼻血が出た。
「わかっていると思ったから、ひとりで外出することを許したんだ。にも関わらず、君は私利私欲のためにそのちからを使った」
違う!
むしろ幸せのおすそ分けとか言って教会で花嫁たちに暗示をかけている神父さまの方が私利私欲のためにあたしを従えている。
鈴佳をつかってあたしを見張らせていたくせに……そう反論しようとして、顔をあげると殴られた。
「左田とかいうあの少年にはもう関わるな。あれは君の聖なるちからを奪おうとしている悪魔だ」
サタン、と真顔で神父さまは口にした。
洒落にしては滑稽で、無責任な発言だ。
サタくんのことを悪魔だなんて。
神父さまはサタくんのことを知らないくせに。
きっとスズカが赤い髪の不良だと外見だけを判断して伝えたに違いない。
「……悪魔なんかじゃない、です」
小声の反論は無視され、また殴られた。
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