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「いいかい、わたしの天使」  わたしの天使。そう言われて寒気がした。  あたしは神父さまの天使じゃない!  ――彼方は天使を解放する。  勢いよく顔をあげ、神父さまの顔につかみかかる。瞳。瞳を見て。  暗示をかけてやる。  人間の男と恋をした天使(あたし)はもう不要なのだからいいかげん解放すればいいのだ。 「無駄だよ。わたしに暗示は効かない」 「そんな……」 「気が済むまで見つめていればいい。そして君がもっとも必要としている人間が誰なのか悟るがいい」  怒りで紅潮した顔の神父さまは、あくまで冷静に、あたしの瞳を見返している。  睨みつけても呪っても彼はどこ吹く風。  それどころか面白そうにあたしの瞳へ指を向ける。 「その綺麗な黒真珠のような瞳を、抉られたくはないだろう?」
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