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 鳥籠の中でしか唄えない小鳥は、飼い主の気まぐれで一度は外に出されたけれど、けっきょく自由に空を飛びながら囀ることを許されなかった。  それどころか、二度と飛べないように翼を切り取られてしまう。  あたしもそんな鳥籠の中の小鳥でしかないのか。  翼のかわりに瞳を抉られてしまう? まさかそこまではしないだろう、けれど瞳を奪われ堕天使として追放されてしまったら生きていけない。  神父さまを信じていた。  母親に不気味がられていたあたしを天使と呼び、実の娘のように可愛がってくれた神父さま。  父親を知らないあたしは彼に父親の姿を見ていたのだろう。  だから必死になって天使になろうとしていた。  マリッジブルーの花嫁さんに明るい未来を暗示してしあわせのお手伝いをするのは嫌いじゃなかった。  だけど違和感もあった。  不安でいっぱいの花嫁をたすけてあげるのは天使ではなく花婿のはず。  天使という存在は教会が客寄せのために作っただけの商売道具。  神父さまだけを見ていればよかったのだろうか。
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