希望の羽

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しかし、天使なんて空想、ファンタジーの産物だし、こんなど田舎にいる訳がない。……いや、いるのかもしれない。 この何もない街。スーパーは24時間営業、コンビニは異様に多く、ドラッグストアも中途半端にある中途半端に都会のようで田舎の雰囲気が漂うこの場所。 ここから出ようとして、他県に大学に行ったとしても、親から 「田舎に帰ってこい」 と言われ、実家の敷地内に家を建てられたり、近くの建売の中古住宅が用意されたりする。 都会で見つけた恋人と別れて泣く泣く地元の企業に就職し、地元の婚活パーティーで地元の人と結婚して、地元に住む。 そんな若者たちの無惨に散った羽がここに落ちている。 彼らはようやく羽を広げ、自由に飛び立つことを夢見ていたのに、結局田舎に引き返すことになった。
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