天使から死にたそうな貴方へ

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「早まるんじゃねぇ~!!おっさん元気出せよぉ~~!!」  大鎌を明後日の方へぶん投げた見習いは、そう叫びながら男に駆け寄る。  突然意味の分からない生命体に声を掛けられた男はきょとんとした顔で固まっていた。 「人生色々あるけどさ、簡単に投げ出しちゃ駄目だぜ」  馴れ馴れしく肩に肘を置く見習い。  幼子のような外見に、小振りな翼をばたつかせ、浮遊している生き物。  男は朧気に察した。 「まさか“天使”……なのか?」  疑いながら訊いてくる男の問いに見習いは正直に答える。 「まだ“見習い”だけどな。でも、おっさんのお蔭で、ちゃんと一人前になれそうだよ」 「はぁ?」  状況が上手く飲み込めない男は頭を抱えながら現実逃避。 「まさか焼きが回っちまったか? 早すぎるだろ!まだ三十に為ったばっかだぞ!!」  ぶつぶつ言葉を漏らす男に見習いは言う。 「こんな所で何をしようとしてたんだ?危ないだろ」  心配してくる見習いに再び視線を合わせる男。 「幻覚じゃねぇよな」  触ろうとしてくる男の手を嫌そうに見習いは叩いた。  パシッ! 「ッ!!」  その痛みの感触は“事実”だと男に知らせる。 「マジかよ……」 「ちょっとは落ち着いたかよ、おっさん。 俺で良ければ話を聴いてやるぜ?」 「……フッ!」  この状況を鼻で笑いつつ、男は空を仰ぎながら語り出した。
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