天使さん

1/1
前へ
/1ページ
次へ
 「こんままや」  少年は天使であると同時に世間の管理人である訳だが、仕事をサボってインターネットに勤しむダメ天使である。人間を更生させることが彼の仕事なのだが、サボってネット掲示板にしょーもない事を書き続けてしまっているのである。  ある日、彼の先輩天使が彼の仕事ぶりを叱責しようとしたのだが、彼は話を聞くフリだけしてそのままインターネットに勤しみ続けた。何も変化していないと感じた先輩天使がパソコンを地上に意図的に落下させようとしたが、天使が蹴りを入れてそれを阻止した。  すると、いい感じにパソコンは地上へ舞い降りてしまったのだが、それを見た先輩天使は自慢げな顔を、後輩天使は哀しげな顔を見せた。  後輩天使はあ先輩天使に怒りの感情を露わにしようとしたが、怒りの矛先である先輩天使はもう既にどこかに行ってしまっていた。  悔しい 悔しい 悔しい 悔しい  後輩天使の脳内はそう叫んでいるが、復讐対象である先輩天使はいない。仕方がないので赤の他人に怒りをぶつけようとしたが、先輩天使の周囲に人はいなかった。  怒りに感情を支配され、自分自身が何をしたいのかも分かっていない状況の中、どこかしらからか音がした。  「俺はネット中毒の大天使なんだ」  ベッドから転落する音と共に、ネット中毒の天使とかいう意味の分からない言葉を吐き出した少年だが、視界に見える先が雲ではなく自分の部屋であることにより、夢であることを錯覚した。  自身はちゃんと人間であり、天使ではない。 そのことに気付けたのは、起きてから5分後だった。
/1ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加