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「芙美ちゃんはいつから吸い始めたの?」
「ハタチです。0時回った瞬間に速攻で」
「へぇ、そんなに吸ってみたかったんだ」
「はい。っていっても、これ限定ですけど」
そう言って、男の目の前で黒い箱をカラカラと揺らす。
「私、これしか吸ったことないんですよ」
「えっまじで?」と心底驚いた様子の男の声にクスクスと笑いながら再び煙を吸い込む。
はじめての煙草から3年の月日が流れ、煙を上手く肺に入れられるようになった。嗚咽しながら咳き込まなくなった。ただ……――まだこの味の美味しさが私には分からない。
「それって元彼の影響とか?」
「元彼なんて1人もいませんよ」
「本気で言ってる?」
「私、彼氏はつくらない主義なんで」
「だからこうやってマッチングアプリで割り切った相手を見つけてるわけだ」
「はい。女にだって普通に性欲はありますからね」
「相手に本気になることはないの?」
「愚問ですね」
「じゃあさ、俺がもし芙美ちゃんを好きになっちゃって付き合いたいって言ったらどうする?」
「連絡先ブロックしてもう2度と会わないですね」
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