初恋は紫煙と共に【完】

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「……遠回しに私のこと老けとる言うてます?」 「ちげぇよ。大人っぽいって褒めてるつもり」 「私、16です」 「うーわ、10個も下かよ。若いな」 思いっきり眉を顰めたお兄さんの吐き出した煙が、風にのってダイレクトに流れてくる。慣れない大人の匂いに私も同じように眉を顰めた。 「おにーさんは26ってこと?」 「そーゆーこと」 「10個も離れてるからそんなに大人っぽいんや…」 「大人っぽくてかっこいいって?」 「……それ、自分で言います?」 「よく言われるからな」 なんかこの人、見た目のイメージと全然違う。 もっと落ち着いていて、なんなら少し近寄りがたい人なのかとも思っていた。 「俺の顔、好きじゃない?」 「……なんでですか?」 「昨日接客してくれた時、ちょっと俺に見惚れてただろ?」 「っは、な、いや、」 「ふは、鎌かけただけなんだけど。そんなに焦るってことはまじだった?」 「っ、なんなん!おにーさん底意地わる!」 この人、めちゃくちゃよく喋るし、自然と距離を詰めてくるタイプの人だ。現に私も素で言い返してしまっている。 それに悔しいけれど、笑った顔の破壊力は半端じゃない。 「顔赤くなってるけど、大丈夫そ?」   にやりと口角を上げた意地の悪い笑顔が心臓の奥をとくんとつついた。
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