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聖なるはかりごと(2)
メルツェデス「……ごめんなさい、遅れちゃって……あ、揃ってるわね」
レナータとジーク「???」
ユーディット「……」
メルツェデスは手にしていた紙袋を机に置いた。
「……さて、と……ここへと集まってもらったのには、きちんとした理由があるわ」
レナータとジークとユーディット「…………」
メルツェデス「早速、本題に入るけど……私たち、天界軍は天使不足になっているの。地上で人間が魔法を使えるようになってからは特にね」
ジーク「あ……そうだったんですか?」
レナータ「ふーーん。それは知らなかったわ……」
ユーディット「考えてみたらわかることでしょ」
メルツェデス「ん、ん、うん。……で、それを解消するため、人間に手伝ってもらうことになったの」
レナータとジークとユーディット「……」
メルツェデス「地上に生きる人間を使うの。……ここに悪魔がいる、怪しい活動をしてるって、こちらへ教えてくれる係を人間にやってもらう。……こっちで選んだ特別な人間へ使命を与えてやる。……それで……天界軍ではその募集のため、ポスターを作ることになった。ポスターを作って、地上界のいろんなところに貼る。そのポスターを見ることができて、興味を抱いた人間は、この任務に適性があるってことになるわ。これを地上に住む人間たちへ周知したい。……それで、ポスター作成にあたって、あなたたちへ協力をお願いしたいのよ」
レナータ「あたしらが協力? なにを? どうやって?」
ジーク「……何かするってことですか?」
ユーディット「……」
「あなたたちにはこれを着て……ポスターのモデルをやってほしいの……」
メルツェデスはガサガサと紙袋から畳まれた衣類を取り出した。
レナータ「!」
ジーク「!」
ユーディット「……」
メルツェデス「ほら……コレコレ。天使らしい清楚なふんわりしてる制服……これを着た三人の写真を……半霊半物質の天使が写せるカメラで撮らせてほしいのよ。……念のために言っとくけど、悪魔を倒す天使の募集じゃないからね。あなたたち、元気だからね。あくまでも、人間の募集が目的のポスターですからね」
ジーク「……へぇ〜〜」
レナータ「……わざとらしいほど、ふわふわしてるわね。……ねぇ、制服って、これ以外のものはないの?」
メルツェデス「そうよ。人間にわかりやすい天使のイメージには、コレだってことで……」
レナータ「…………。ねぇ、あの……メルツェデス……こ、このさ……せ、制服の……デザインなんだけれどさぁ……」
ジーク「んん?? デザイン??」
レナータ「これをあたしが着るんでしょ? これ着て、写真とられるっていうのはわかったけれど……」
メルツェデス「……うん、何かしら?」
レナータ「あたし、このデザインがイヤ!! 一時的に着るんならまだしも、それがポスターで使われるなんて、イヤ!! ポスターって、あの執念深い人間の記憶に残るでしょ? そのように作るものだし! ……イヤったら、イヤ! ねーーこれ以外のやつ、ないの?」
メルツェデス「ん、んーーー。難しいわね。他のデザインにしろって言われても……それが決まるのを待っててってなると……ポスターを作るのが遅れちゃうし……」
レナータ「えーーー。……んーーー、じゃあ、あたし、やらない!! モデルなんてやらない!!」
ジーク「え!?」
メルツェデス「は? ……や、やらない、ですって?」
ユーディット「……」
「そうよ、そのとーりよぉ! あたしは、やらない。……ぁ! そうだ、こーいう役は、いつもいつもあたしにケンカふっかけてくる、そいつの方がお似合いよぉ!!」
レナータはユーディットを指さした。
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