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「のぞみさんって、快活で何でもできそうだね。オレ、そういう子が好きなんだ。文学部っておとなしい子ばかりだと思ってたけど、今日は来てよかった」
「そうですかー? うれしいです!」
のぞみは綺麗に整ったセミロングの髪を触りながらほほを染めて頷いた。
国立大学医学部と私立女子大学の文学部とで合コンが行われた。お互いが10人ずつ参加し、一番のイケメンの草刈空の周りに女子が集まって騒いでいたが、ふいにのぞみの隣に草刈りがやって来て、のぞみと話を始めた。きれいで華やかな女子が多い中、比較的控えめで地味なのぞみは思いがけないこのチャンスを逃がすまいと、必死に彼と話を合わせた。
「スポーツは何をやるの?」
「はい、水泳とか、テニスとか得意です!」
「いいね。のぞみさん、スタイルいいし、運動神経も良さそうだね」
「はい。私、何にでもチャレンジするタイプです」
しかし、本当は、のぞみは水泳もテニスも子供の頃に少しやったことがあっただけで、普段はあまり外に出ず、家で本を読んだり音楽を聴いたりして、まったりと過ごすタイプだった。
「今度、オレのBMWで海岸線を走りに行こうよ」
「はい、ぜひ!」
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