あの世界に旅たったあなたへ

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そこからの記憶もかすかにしか残っていない。 それも自分で病室にまで帰って、先生に明日には退院できるということを伝えられたことまで。 そこからは気づけば退院の手続きをしていた。 ただ寝ていただけなんだろうけど、ショックが大きすぎて何も考えられなかった。 《家》 とりあえず何とかして家には帰ってきた。 帰り道も結局何も考えられず、家への帰り道だけは何とか覚えれてはいたらしい。 そう思っただけで、ほんとに私だけ何もないんだなと実感させられた。 その上、あの時みたいな声はもう聞こえない。 「おかえり!おねーちゃん!」 「今日ね!おねーちゃん描いたんだ〜!どう??」 あんな風に笑ってた涼奈もいない。 「莉々奈〜入学おめでと!今日は赤飯ね!」 「お誕生日おめでと!これお母さんからのプレゼント!」 あんな風に優しかったお母さんもいない。 「莉々奈。こんな服どうだ?」 「欲しいものあるか??買ってあげるよ〜」 あんなに無口でも家族には優しいお父さんもいない。 「どうして私だけなの、、」 思い出すだけで涙が止まらない。 病院にいても、ご飯もまともに食べれてない。 「あー私も飢え死にできたら家族みんなに会える?」 もう私にはこれしか考えられなかった。
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