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第15章 進藤の死因
石田は、進藤の死を受けて監察医と面会することになった。病院の一室に入ると、淡々とした雰囲気の監察医が待っていた。猫ひろしに似た彼は、進藤の遺体についての詳細を語り始めた。
「石田さん、進藤さんの死因についてですが、心臓発作が確認されました」監察医は言った。「ただ、周囲の状況を考えると、ストレスが大きな要因だったと考えられます」
石田は、その言葉に衝撃を受けた。進藤が捜査していた事件が、彼にどれほどの負担をかけていたのかを思うと、胸が締め付けられる思いだった。
「進藤は、何か特別な事情があったのですか?」石田は質問した。
監察医は少し間を置いてから続けた。「実際、進藤さんの身体には外傷はありませんでした。しかし、彼が抱えていた精神的なプレッシャーや、職場でのパワハラが影響していた可能性が高いです」
石田はその言葉に怒りを覚えた。進藤が受けていた精神的苦痛が、彼の命を奪う一因となったのだ。銀行内の腐敗が、どれほど多くの人々を傷つけていたのかを改めて思い知らされた。
「進藤が調べていた内容は、やはり重要だったのですね」石田は尋ねた。
「ええ、特にパワハラの問題が絡んでいるようです」監察医はうなずいた。「彼が関わっていた人物や組織が、何らかの手段で進藤さんを脅かしていた可能性があります」
石田は、進藤の死の真相を追求することを再度決意した。進藤が命をかけて守ろうとしていた真実を、必ず明らかにしなければならない。その思いが胸に迫り、力強い決意をもたらした。
「監察医、ありがとうございます。進藤のために、必ず真実を突き止めます」石田は毅然とした表情で言った。
監察医はその言葉に微笑み、「彼のためにも頑張ってください。真実が明らかになることで、他の人々を守ることができるかもしれません」と応じた。
石田は、監察医との面会を終えた後、進藤の死因を踏まえつつ、行動を開始することを決めた。進藤の遺志を継ぎ、彼が求めていた真実を明らかにするため、再び獄門と共に動き出すのだった。
進藤の死は、彼にとって単なる悲劇ではなく、新たな戦いの始まりとなる。石田は強い意志を持って、彼の命を無駄にしないために走り出した。
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