11 どうでもいい男

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「えー、行くのかよ。俺は行かないからな。てか、美歩、そんなもん見に行く金あるのかよ。俺の稼いだ金で気持ち悪いもの見に行くなよ」 「……」  確かに、パーソナルトレーニングで結構使ってしまっている。それに、他にも使いたいことがある。お金が大事であることは間違いない。そして、今現在貴志の収入に頼っているのも確かだ。  この人に、もしスポーツクラブに行っているなんて言ったらめちゃくちゃに否定されそうだ。  そういえば、この人も運動はそこまで好きではなかったんだっけ? 「わかった。私、働くね」 「は? 当てなんかあるのかよ。それに、ほら、専業主婦してるだけで、よく体調崩したりするくらいだろ? 大丈夫なのかよ」 「ちょっとずつやるから。それに、家にいるだけじゃ貴志に迷惑掛けちゃうでしょ?」 「家事とかどうすんだよ。俺の夕飯とか」 「それもなんとかする、つもり」  正直、前より体は軽い。家にいるとなまってしまうような感じだ。  多分、今の私なら出来る。というか、いつも夕飯のときに帰ってくるかどうかわからないくせに、なにを慌てているんだろう。  もしかして、私が外に出て行くのが嫌なんだろうか。  なんて小さな男なんだろう。  ああ、こんな男、本当にどうでもいい。
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