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嘘だとわかる嘘を吐いて、オトコという生き物は何が楽しいのだろうか。
「でも、君ほど口が上手な女はいなかったね」
ベッドに座り、トビアスによって留め具だけ外され肩にぶら下がったままだったブラを、再び着衣として働かせていると、トビアスが私の頭を掴んでせがんだ。
「嘘よ。私はそんなに上手じゃない」
上手じゃない。そして、好きでもない。ただでさえ好きではないのに、なぜ散々突かれて自分の体液で濡れたモノを咥えなくてはならないのか。
私はつい、ひと仕事終えて萎んだ彼のソレを軽く噛んでしまった。
「くそっ!」
さっきは甘えるように私の頭を掴んでいたトビアスの手が、硬い凶器となって私の頬を打った。
「カネタカの娘だからって調子に乗りやがって!」
殺される。私はそう思った。
そう思った時の人間の行動にはそれほど多くの種類はない。
逃げるか、詫びるか。或いは私の様に相手を殺すか。
せめてその場で殺していれば、正当防衛も認められたであろう。しかし私は、一旦その場を偽の謝罪の言葉と、彼が望む口の使い方で逃れた後に、医師としての知識を使いトビアスを殺した。
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