【短編】羽ヲ捨てた天使

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「あーあ。キレイな白だったのに。」 私の後ろで、もう聞き慣れた姿も見せない声が嘲笑った。 何も感じない心がチクリと傷んだ気がして、目を伏せる。手の内にある空になった瓶が冷たい。 「元々、こんなもん。」 自分を苦しめるように。“死神”を責めるように。口から出た声は、思ったよりも低くて、重かった。 そんな僕の気持ちを見透かしてか 「堕天使もキレイでいいよね!」 なんて明るい声で抜かすもんなので、瓶を投げてやろうかと思う。そんな体力も精神力も残っていないのでやめたが。 「美味しかった?」 疲れ切っている僕にまたもや質問を投げかけてくる“契約者”に、若干イライラを募らす。 「無味。」 空になった瓶の中身は無味。人の闇だから美味しいとは思っていないのだが、無味とはなかなかに酷い。水ですら味がするというのに。
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