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「あら、今日はよく会うわね」
日下部と入れ違いで階段を上って来たのは希空だったにゃ。
「僕達は今とても怒っているんです」
そうにゃ、はらわたが煮えくりかえるって言うやつにゃ。
「えー?ふふっ、どうして?貴方が怒るなんて珍しいじゃない。面白そうだから聞かせなさい」
「えぇ、えぇ、聞かせてあげますとも。実はたった今、学園で一番人気のテニスの王子・天使・日下部さんが想いを伝えて来た相手を振って泣かせたあげく、沢山の方から頂いたお誕生日プレゼントの品にケチをつけてまして、マルカリに売るだのお祖父様に食べさせるだの仰ってたんですよ!酷いと思いませんか!?」
希空、あんな男好きになるのやめた方が良いにゃ!不幸になるにゃ!!
「あら別に良いじゃないの」
「えっ」
にゃ?
「顔とスタイルが良ければ何でも良いわよ。平凡でも不細工でも優しくされたら気持ち悪いもの。それなら性格は悪くても見た目が良い人と一緒に居る方が気分が良いわ」
「・・・・・・」
・・・・・・。
にゃ、にゃにを聞かされてるのにゃ、僕達は?…ってきっと季優も同じ事思ってるに違いないにゃ。
「それに日下部君が猫被ってるなんて女の子の大半は皆とっくの昔から知ってるわよ?知っててそれでも良いから好き好き言ってるわけだし。ほら、ね?結局顔なのよ。それに貴方さっきテニスの王子って言ってたけど本当は違うのよ?ファンの間で何て呼ばれてるか教えてあげましょうか?」
「な、何と呼ばれているんです?」
怖いけど…聞いてやるにゃ。
「テニスの悪魔」
「「!!?」」
僕と季優にぴしゃーんっ!!と落雷が落ちたにゃ。
「男子は知らない人多いみたいだけど。女子ってそう言う生き物なのよ?また一つ勉強になって良かったわね。あんまり良い人でいるとアホを見るってこう言うこ・と♡」
……そういや希空も良い人ぶってるだけの
大魔王だったのすっかり忘れてたにゃ。
「うふふっ、天使なんてこの世に居ないのよ……?」
コツコツ…… 静かに遠ざかって行く希空のハイヒールの音が暗闇を奏でる怪しい音楽に聞こえてるくるのは気のせいだろうか?
それから二限目を知らせる鐘が鳴ってもしばらく季優は真っ白になったまま動けなかったにゃ。
天使って…天使って何なんだにゃ〜〜〜!?
おわり
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