──染まる、

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「真桜!? ……状況よくわかんないけど、ここからは離れよう」 くらっと、眩暈がした。由良が支えてくれてなんとか立ったままいられているけど、この輪の中にずっといられるほど私は強くない。本人に聞かなきゃ何もわからないけど、こうして写真として残ってしまっているのも事実。 少し、頭を冷やそう。私に余裕は、ない。 ここで “彼女ではない”ふりを続けるのは、無理。 自分の席に行こうと由良と歩き出した、その時だった。教卓の方から、声が聞こえてきた。 「──あ、新川くん!」 反射的にドアの方向を向いてしまうと、そこには私が好きで好きで仕方ない人が不思議そうな顔をして立っている。有暉の顔を少しでも見たら、さっきの写真が本当に現実になってしまうのではないかって怖くなって……すぐに顔を背けた。 私からなんて、すぐに離れていっちゃうんじゃないかって。 ──ずっと、思ってはいたの。 私だけが、きみのこと好きなんじゃないかって。 そうじゃないって、有暉が私を好きでいてくれてるのはわかってる。わかってる、私を守るためだってわかってるけど、関係を秘密にしているのだって本当は、いつでも菜々さんに戻れるように、なんじゃないかって。違うんだよ、違うって、わかってるけど。 だけどどうしようもなく、不安が襲ってくるの。 だって、だって……。 有暉は、菜々先輩のこと。 「新川くんって、伴野菜々先輩と付き合ってるの!?」 一人の子が切り込んだ質問をして、教室がシンと静まり返る。みんなが、有暉の答えを待ってる。私も同じように、きみの答えを待つ。 ……ねえ、早く答えてよ。何その沈黙。何その顔。「付き合ってない」って一言言えばいいだけじゃん。今の彼女は私で、菜々先輩じゃない。そんなに、迷うことなの? もしかして、本当にまだ有暉は…………。
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