33人が本棚に入れています
本棚に追加
*・゚・*
──新川有暉は、謎だった。
クール、その表現は有暉には当てはまっていなくて。何を考えているのかわからなくて、いまいち掴めないような人。
その割に一匹狼にはなっていなくて、いつも彼の周りには人がたくさん集まっていた。だけど女子とはほとんど関わっていない、硬派とも呼ばれる部類の人。スタイルも良くて、顔も整っている。白い肌に黒髪がよく映える。だから女子とは関わっていなくても、隠れファンが多いらしかった。
──ミステリアス。有暉を表すなら、きっとこの言葉。
そんな謎でいっぱいのきみと前後の席になって、見つけてしまった首筋のキスマーク。それはきみが誰かと深い関係にあるということを示しているのに、その日から私は有暉が気になって仕方なくなった。
「……また新しいのついてる。ほんと新川くん、見かけによらず独占欲強すぎ」
髪の毛の間からすっと首元に触れられてびくっと体が跳ねる。昨日の甘い時間が跡として残る首筋には、彼に愛された感触がまだ少し残っている。伸びてきた手の持ち主はそんな私をからかうように笑って、長くてふわふわした髪を揺らす。
「そんな反応されたら、手出さずにいられないなー。こんな隙だらけが彼女なんて、新川くんも苦労してそう」
最初のコメントを投稿しよう!