ランキング

3/4
前へ
/4ページ
次へ
その時、 モノクロームの世界に、光がさした。 群衆だけでなく、空も灰色の曇り空だった。そこにいわゆる『天使のはしご』が出現したのだ。雲の切れ目から光がさす景色を、海外では『天使のはしご』というらしい。 確かに天使が舞い降りてきそうな神々しさはある。俺は一瞬口をぽかんと開けて、美しい『天使のはしご』を眺めていた すると 『天使のはしご』をつたって、人込みの中に天使が降りてきたのだ。 するするするっと。実にさりげなく。 服装はTシャツにジーンズというごく当たり前のものだったけど、彼は明らかに周囲の人とは違っていた。 彼だけが色をまとっていた。正確には、光をまとっていた。 それは十代後半の少年に見えた。薄い茶色のウェーブがかった髪の下に、同じく薄い茶色の瞳をしていた。そこから放たれる眼差し。 ああいうのを慈愛に満ちた眼差しって言うんだろう。 俺は一目で釘付けになり、その場に立ち尽くした。モノクロームのモブたちが、俺と天使から遠ざかる。映画で見たモーゼの十戒みたいに、俺と天使の間に道ができた。 立ち尽くす俺を目指して、天使が近づいてきた。 透き通るような象牙色の肌に、桃色の唇をした、天使。 天使が、告げた。 「ランキングをお伝えに来ました」 鈴を振るような声だった。 「ラン・・キン・・グ?」 「はい」
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加