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100日前偶然出会ったのが、同じ罰を与えられた天使同志だったなんて、まるで安っぽいラブコメディ。
だけどそんな安っぽい偶然に僕は心の底から感謝した。
「その手紙、読んじゃだめよ。泣きながら書いたんだから」
僕の手の中を手紙を見つめ、ユイがまだ泣き笑いで言う。
「読まないよ。これ読んだら記憶が消えちゃうもんね。僕らの大事な100日間が」
朝のパンケーキは、ユイの精一杯の僕への優しさだったんだと改めて気づく。
愛おしくてたまらなかった。
僕に罰を与えようとした神様は、天上でちょっと悔しがっているかもしれない。
「いっしょに帰ろう。ユイ」
「うん」
スプリングコートを脱いで、純白の翼を広げたユイに、僕は眩暈がした。
「ちゃんと飛べるかしら」
「飛べるよ。僕が手を握ってあげる」
ちょっとくさいセリフを言った後、僕は彼女の残した封筒を高く掲げた。
薄紅色の封筒は手紙ごと、キラキラの粉になって青空に溶けていった。
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