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夕方5時過ぎ、今年最後の仕事を無事終えた僕は、イヤホンを耳に付け、仕事場を後にした。そして真っ直ぐ、何処にも寄らずに家に帰る。
マンションのエレベーター内、僕は鞄から家の鍵を取り出すと、5階でエレベーターを降りた。
今日もいつものように、ドアノブには、紙袋がかけられていた。中には白い正方形型の箱と、その上には、手書きのメッセージカード。
"今年最後の仕事、お疲れ様!本当にお疲れ様!寿人さん、ゆっくり休んでください!"
メッセージカードに、思わず口元が緩み出す。
朝の憂鬱さが晴れて行く。だが、それは一瞬だった。何故なら、正月明けまで、仕事は休みな為、このメッセージカードとは暫く…。
「…まぁでも、これも一時的だろうな…」
そう、ポツリ呟いて、僕はドアノブの鍵穴に鍵を差し込もうとしたが、なんだか違和感を感じ、鍵を差し込むのをやめた。そして、ふと、ドアノブを回すと…。
「…あい、てる…?」
朝、しっかりと鍵を閉めたはずなのに、何故か鍵が開いていた…。
ピッキングで鍵を開けられたのだろう、そう思った。
僕はそっとドアを開けると、恐る恐る玄関へと入る。
心臓が、バクバク騒がしい。恐怖を感じていた。
部屋が、暖かい。暖房がついてる?何故?
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