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特に、何か嫌な事があるわけでも無い。それでも、いつだって、世界は何処か冷たく、薄汚れてるように見えて仕方なかった。けど、彼が、親友が傍にいてくれる事で、何処か、そんな世界をマシに思えていたのかもしれない。
彼亡き今、もしかしたら、洸太君が、この、薄汚れた世界を、綺麗に見せてくれるのかもしれないと、そう思いたくなってしまったのは、確かだった。
きっと何処かで、願っていた。求めていた。この恋が報われないのなら、この恋を諦められるほどの何かを、強く、強く求めていたんだ。彼に求めてもらえなかった僕は、誰かに求められたかったのかもしれない。強く、依存するほどに強く。
「俺ね、メッセカードに、あえて、誕生日おめでとうって書かなかったのはね、直接、言いたかったからなんだ♪言えて良かった!ね、一緒にケーキ食べよ!やっぱ、誕生日は誰かと一緒がいいじゃん」
そう言って、ニコニコしながら、洸太君はキッチンへ向かうと、食器棚の戸を開ける。それはまるで、自分の家かのように。
ここが、僕の家だという事を忘れないでほしいが。
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