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「…彼とは何処で?」
「会ったのかって?俺、その人と同じマンションに住んでるんだよね。でね、たまたま屋上に行ったら、その人いて、死のうとしてたから、声掛けたんだ。そしたら、怖くて勇気がない、っていうから、じゃあ俺が、押してあげるよ、ってなって。そしたら、"ありがとう"って。俺、良い事したと思わない?」
そう言う洸太君の顔は、何処か悲しそうで、でも、"良い事したから褒めて?"と言う、まるで子供のような、そんな風にも見て取れなくもなかった。
親友だったはずなのに、僕は、彼の苦しみに気付いてやれなかった。いや、気付こうとしなかったのかもしれない。理由は違えど、苦しいのは僕だけだと、そうずっと、思い込んできたから…。
「…洸太君。君は、僕からも、彼からも、苦しみを取ってあげたんですね。きっと、彼も僕と同じように、君に感謝してると思います。僕は、彼の苦しみに気付けず、だからこそ、取り除いてあげる事は出来なかった。でも、君には、出来た。ありがとう。彼を救ってくれて、僕を救ってくれて、本当にありがとう」
僕は、洸太君に感謝の気持ちしか、なかった。
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