3人が本棚に入れています
本棚に追加
電話を終えた僕は、暫くの間、動けずにいた。多分、まだ、頭の中できちんと整理が出来ていなかったせいだろう。
だが、少しずつ、理解していく。"彼"は…。僕のずっと好きだった"彼"は、もうこの世には、居ないんだと…。
高校からの付き合いで、ずっと好きで、親友だったからこそ、ずっと傍にいられた。そして今も、32歳になる今でも、叶わぬ想いを寄せて…。
「……そうか。居ないのか。もう、話す事も、一緒にご飯行く事も…。もう…」
悲しくて、涙が出る…と思いきや、涙は出なかった。違う。不思議と、悲しみではなく、何処かホッとしたような、そんな安堵した気持ちになってしまったんだ。
長年想いを寄せて来た、大切な彼が死んだというのに…。
「…寝なきゃな。明日は仕事だ」
そう呟いて、僕は布団を頭まで被り、眠りについた。
次の日、僕はいつも通りの時間に起き、スーツを着て、いつも通り仕事に向かった。
そして、いつも通り仕事を無事終え、真っ直ぐ帰宅する為、電車に乗る。
最初のコメントを投稿しよう!