解放【完】

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電話を終えた僕は、暫くの間、動けずにいた。多分、まだ、頭の中できちんと整理が出来ていなかったせいだろう。 だが、少しずつ、理解していく。"彼"は…。僕のずっと好きだった"彼"は、もうこの世には、居ないんだと…。 高校からの付き合いで、ずっと好きで、親友だったからこそ、ずっと傍にいられた。そして今も、32歳になる今でも、叶わぬ想いを寄せて…。 「……そうか。居ないのか。もう、話す事も、一緒にご飯行く事も…。もう…」 悲しくて、涙が出る…と思いきや、涙は出なかった。違う。不思議と、悲しみではなく、何処かホッとしたような、そんな安堵(あんど)した気持ちになってしまったんだ。 長年想いを寄せて来た、大切な彼が死んだというのに…。 「…寝なきゃな。明日は仕事だ」 そう呟いて、僕は布団を頭まで被り、眠りについた。 次の日、僕はいつも通りの時間に起き、スーツを着て、いつも通り仕事に向かった。 そして、いつも通り仕事を無事終え、真っ直ぐ帰宅する為、電車に乗る。
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