3人が本棚に入れています
本棚に追加
帰宅ラッシュ時だが、運良く、椅子に座る事が出来、ホッとした気持ちで、携帯にイヤホンを差した。そして、いつも聴く洋楽を流す。
電車に揺られながら、ふと、昨日の電話を思い出す。彼の死を告げられ、もう二度と彼には会えないと思い知らされた。だが、1日経っても、僕の心には、不思議と、悲しみはなかった。
僕は、彼が好きだった。高校1年の頃からずっと、彼だけを想っていた。けど、彼は決して、本命を作らない人だった。彼は、自分の事はあまり話さない人だったから、理由は分からないけど、極端に"信じる事"を恐れ、本気で人を愛する事の出来ない人だった。
いつだったか、呟くように彼が言った。
"みんなよくさ、本気で人を好きになれるよな。ずっと一緒なんて、この先、どうなるか分かんねぇのに。どうせいつか変わって、傷付いて、傷付けらんなら、ずっと遊んでた方がいい"
そう言った時の彼の横顔は、何処か寂しそうで、でも何処か、飢えてるような、そんな風だった。
最初のコメントを投稿しよう!