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"寿人さん、今日もお疲れ様です!ゆっくり休んでくださいね!"
メッセージカードに書かれている内容は、毎回同じだけど、毎回、手書きだ。それがなんだかとても嬉しくて、思わず口元が緩む。
「…まるで、誰かが待っててくれてるみたいだ。ふふ。ありがとう。有り難く頂くよ」
メッセージカードを眺めながら、そう呟いた。
この、メッセージカードの人は、毎日、僕の家のドアノブに、紙袋を引っ掛けておくだけで、それ以外は何も、アクションを起こす事はなかった。
「…今日で仕事納めか…」
年末が近くなり、今年最後の仕事の日。この日はいつもよりも少し、憂鬱だった。何故なら、メッセージカードの人は、僕が仕事の日の時しか、やって来ないからだ。だから、正月が明けるまで、また虚しさが募るのかと思うと、朝から凄い憂鬱になるのだった。
憂鬱のまま、今年最後の仕事の為、家を出た。
通勤ラッシュの電車に揺られながら思う。
彼の死で、苦しみから解放され、肩の荷が降りたとはいえ、やはり、唯一の親友を失ったのは、大きかった…と。
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