ひと晩だけ、恋人

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*** ──────6年前。 あれは、私、 三澤小夜(みさわさよ)がまだ20歳だった頃。 その日は、母の命日で、 外は〝土砂降りの雨〟だった。 そんな中..................目の前には。 『小夜!お前は何をやってるんだ! クビになって帰って来るなんて! 俺の酒代はどうなるんだ!』 そう言って、 --------------ドン!と。 思いっきりテーブルを叩く父親。 そんなことをする、父親は。 きっと、母の命日だなんて、 とっくに忘れてるであろう............ 私が高校を卒業した翌日、 それを見届けたかのように病気で他界した母。 元々、体が強くなかったのに、 酒ぐせの悪い父親に代わって沢山働いてたのが、 理由かも.........と病院の先生にも言われた。 『っ、ぅ、ご、ごめんなさい、おとう、さん、』 当時、私はそんな父親が怖くてたまらなかった。 酒ぐせが悪いのに、 自分では働こうとしない父親。 そんな父親を、父親なんて思いたくないけど。 名前を呼びながら謝ったのに.....................
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