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「ここは・・・?」
気がつくと、私は城の自分の部屋のベッドで寝ていた。私が気を失っている間に何があったのか、確かめに行こうと立ち上がろうとする。
「痛っ・・・!」
背中に強烈な痛みが走る。
何とか這いながらカレンダーを確認すると、そこには10月13日、と。コンテストがあったのが9月で、祠に行ったのが10月10日だから、3日近く気を失っていたのだろう。
そして、今気づいたことだが、外からお祭り騒ぎのような声が聞こえてくる。
何事だ?と思い私は窓の外を見ると、パーティーらしきものか開かれていた。
そして、旗には――
レベック様万歳、と。
レベック?そんな人間、城に居たか?と私は思考を巡らせる。私はそれが気になって、背中を怪我しているのにも関わらず外に出て行ってしまった。
「ねえ、エリアス。レベックって誰だい?」
「レベック様はこの城を救ってくれました。」
「誰なのかと聞いているんだがね・・・」
「レベック様はこの城を救ってくれました。」
そうだ。エリアスまでも、このゲームの中ではNPC、ノンプレイヤーキャラクターなのだ。忘れていた。まともに話せる人はこの城に居ないことを。
それならば、直接、レベックという人に何者なのか聞きに行こう。
私は祭り上げられている人物に近づいた。
「君が、レベックかい?」
「あ、あなたは・・・!」
「どうしたんだい?」
「あなた、祠で倒れていましたよね。それ、運んだの俺なんです。あ、自己紹介が遅れました。そうです。俺がレベックです。」
この、レベックという男――
普通に、会話ができる。いや、今はそれどころではない。
「君も、祠に行ったのかい?」
「そうです!魔物を倒すために行きました!それで、魔物を倒したら・・・こんなパーティーを開いてもらっちゃって・・・」
ぞくり、背中に悪寒が走った。
私は、全てを理解した。
この男が、私と普通に会話をできる理由も。
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