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ブィンルート大陸の中心にある国。その名はパルトビア国。
小さな国であるが他の国との交易も活発であり、近年急速な発展を遂げている。
その中心部に構える城、パルトビア城。
そこには高い目標を心に掲げた、1人の男がいた。
私の名はルベン・ロカール。31歳。パルトビア城で料理長として雇用されている。
史上最年少でパルトビア城の料理長になった私は、周りからの期待に応え続けるために努力する日々を送っていた。
そんな私が次に手に入れたいと思っているのが、『全世界料理コンテスト』優勝の称号。
『全世界料理コンテスト』とは、その名の通り、9月に開催される、全世界で料理の腕前をはかるコンテストのことである。国で1つ、料理を提出して、審査員が実際に食す。そこで1番審査員に美味しいと思わせた国こそが、優勝国となるのである。
我がパルトビア国ではもちろんこの私、ルベンと、パルトビア城のコックたちが選出された。まずはなんの料理を作るか、そこからだ。本日はコック達とのミーティング。コンテストに出す料理作りは私を中心に進めていくが、コック達との連携も大切である。今日のミーティングから、気合いを入れなくては。
「まず、コンテストに出品する料理についてですが・・・」
「パンを使うのはどうですか?」
「いい案ですね。」
パンを作るための小麦は、パルトビア国でも生産量の多い食物の一つである。パルトビア国の知名度向上のためにもパンを使用するのはいい案であろう。
しかし・・・
「パンだけでは印象が薄いかと。パンを使ったなにか、にしませんか?」
私はそう提案してみた。コックたちがザワザワしだす。
「うーん、パンを使った料理・・・」
「パンを使ったキッシュとかどうでしょうか!?」
「キッシュですか・・・いいですね。」
パンキッシュ、と聞いて私は感心する。我が国はパンだけでなく、乳製品、とくにチーズに力を入れている。そのチーズもアピールすることが出来ると考えるととてもいい案であろう。
「他の案は・・・」
「シチューグラタンはどうですか?」
シチューグラタン。こちらもチーズを使用する。加えて我が国が世界生産数1位を誇るブロッコリーも使用している。そう考えるとこちらの方がいいだろうか。
「他に案はありませんか?」
私がそう問いかけると、コックたちはこくりと頷く。
「それでは、キッシュかシチューグラタンのどちらにするか決めていきましょう。私としては、ブロッコリーを使用する点で考えるとシチューグラタンが良いかなと思っています。」
「僕もです。」
「私もそう思います!」
次々とコックたちは賛同してくれる。制作する料理は決まった。ここからはどれだけオリジナリティを出せるか、かつ、美味しいものを作れるか。それが勝負になってくる。
「それでは明日の夜から夕食の準備が終わったあと、全員で制作に入ります。皆さん、頑張っていきましょう。」
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