嗚呼、何もかも儚い

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 作品自体の良否は二の次でスターの投げ合いをちゃんとやると、付き合いが良いと評価され読まれる。なんて投稿サイトもあるが、名前が売れていると、どんなつまらない作品でも読まれるのに名前が売れていないと、どんな面白い作品でも読まれない。だから名前を売ろうとどんな小説賞に応募しても出身大学が二流だったり未婚だったり無職だったりする経歴を見ただけでこいつは駄目だと烙印を捺され第一審査も通らない。つまり先入観や偏見で判断される。何らかのバイアスがかかってさ、もうお前ら好い加減ステレオタイプを捨てろ!と声を大にして言いたい。嗚呼、俺はどうせ死んでから報われるんだ。惨めな孤独死を遂げ、無縁仏になってから大量の作品を残していたのが分かって初めて注目を集める。嗚呼、なんと悲しや…本を何冊も借りて読んだ留置場でもアクビが出てしょうがなくて自分の小説の方が断然面白いと思っていた。そりゃあまあストーリーテーラーの持つストーリー性の豊かさとか知識や自然描写やアレゴリーやボキャブラリーを駆使した作家の表現力の豊かさとかには敵わないかもしれないけど、ヘビーでディープな意味に於いては負けていないと思う。つまり読む価値があるんだよ。こんな風に自画自賛すると、余計読まれないもので全く困ったものだ。とは言え、ま、別にどうでもいいんだ。どうせ人類は地球に誕生した生物の中では新参者なのにいち早く消えてなくなるんだ。他の生物とは異なり地球資源を貪り地球環境を破壊し自然災害を齎す、おまけに少子高齢化したり相変わらず殺し合ったり、果ては核分裂核融合ごっこでもしながら恐竜が繁栄した時代より3桁も短い時間でよ。そして人間にとっては気の遠くなる時間にせよ宇宙にとってはほんの僅かな時間を経て地球も消え人類が残したことなんか何も残らないんだ。俺の生き恥を晒した人生の足跡なぞはそれこそ消えてなくなれば良いのだ。とは言うもののまだ死にたくない、今を楽しみたい、とこう言えるだけ実は幸せな身分なのかもしれない。とこんなことを言っていられるのはいつまでのことやら、一寸先は何とやら…嗚呼、何もかも儚い。
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