マルタ騎士の小話

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中世の欧州 地中海のマルタ島 修道僧で騎士達の領地であるこの島で クリスマスのミサの準備が進んでいた 「間もなくクリスマスか」「今年も華やかで荘厳でしょうね」 島に住む者達がさざめき話している 「ヴァレッタ隊長 とても素敵で美味しそうです」綺麗な少年の姿をした吟遊詩人こと魔物が一言 「故郷 南欧のワインにラベンダーの蜂蜜に菫(すみれ)の砂糖菓子の事か」 「シオン 分けてほしいのか?」「ええ、お優しい心広い騎士修道様ですから」 「シオン 魔物のくせに 修道僧の慈悲にすがるとは」にやりに笑うヴァレッタ隊長 「分けてやったらどうだ 当然だが、私の分も頼むぞジャン・ド・ラ・ヴァレッタ修道騎士殿」 「やれやれ、グランド・マスター、リラダン総長殿 お前 この綺麗な顔をした魔物に甘くないか?」 「シオンは 時々は我らの役に立っているぞ ジャン それに 何気に隠している他の菓子に食べもの ワインも所望する 何せ クリスマスのアドベントの季節だ」 「隠しているとは?」「イタリアのレモンチロ(レモンの甘い酒)に白ワイン それから干し肉に ブルーチーズもだ ジャン」ご機嫌な様子のリラダン総長の一言 「案外と抜け目ない」「長年の騎士団の長であるグランド・マスター役職は伊達じゃない」 「ええ、本当に美味しいです」すでにモグモグとシオンは隠していたはずのブルーチーズを食べている 「こらシオン」「私の分も残さぬかシオン」 「今度 マルタ島に連れてきた山羊のチーズもそろそろ出来上がりですよね 楽しみです」 ちゃっかりものの魔物のシオンは それは幸せそうに食している。
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