星空フレンズ

1/1
前へ
/51ページ
次へ

星空フレンズ

「「「「あっ、」」」」 星空の下、重なった4つの声。 しかも、全員、顔の知ってる人たち。 私、川野苅乃(かわのかの)のクラスメイトたちだ。 私に、友達はいないから、 あくまで顔見知りの、クラスメイトだけど......... 1人は女の子で、苗場佳奈(なえばかな)さん。 話したことはないけど、確か委員長のはず。 あとの2人は、男の子で。 そのうちの1人は、岸本琉季(きしもとるき)くん。 確か、苗場さんと、いつも一緒にいる男の子。 もう1人の男の子は、川口星(かわぐちほし)くん。 クラスの中心的男の子で、目立つって印象。 なんで出会ってしまったかは分からない......... 誰とも、 話したことないから、動こうにも動けなくって。 ──────そのまま過ぎゆく時間。 「確か、川野さん、だよね?」 沈黙を破るように、1番に話しかけ来たのは川口くん。 「..................っ、」 どう答えて良いか分からず、黙っていると......... 「ほっしー、同じこと思ってた!」 そう元気に声を上げたのは、苗場さん。 川口くん、〝ほっしー〟って呼ばれてるんだ......... 「川野さんって、あんま喋んねぇーからさ、 ふつーに、俺らにビビってんじゃねーの?」 怖く、物騒な声色で、そう言ったのは岸本くん。 「........................っ、」 言葉的に、助けようと?してくれてるのは分かるけど。 正直、岸本くんのこと、凄く苦手なんだよね......... 「いや、琉季が1番ビビらせてんじゃん!」 まるで、〝離れろよ〟と言わんばかりに、 私と岸本くんを遠ざけてくれる川口くん。 「あー、もう!るっきーは、川野さんに接近禁止!」 そう言って、両腰に手を当てる苗場さん。 「なぁ、川野さん」 私の身長に合わせて屈んで、 視線を合わせて、言ったのは川口くん。 その視線と言葉に、静かに頷くと。 「ゆっくりでいいから、 俺らと、これから友達になりませんか?」 そんな声が聞こえた。 今まで、小学校の時も、中学校の時も、 〝友達〟なんて1人もいなかった。 星空の下、〝友達〟を始めることになった3人。 一気に3人もなんて思ってなかったけど......... それはきっと、神様が繋げてくれたんだと思う。 まさに、──────星空フレンズの奇跡。 fin.
/51ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加