重たい荷物は半分こ

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重たい荷物は半分こ

「里緒、もう泣くな」 ギャン泣き号泣の、 私、桑野里緒(くわのりお)はいつだって救われた。 幼なじみの男の子、牧野志帆(まきのしほ)に。 「うぅっ、志帆ってなんでいつも優しいわけ?」 「いつも優しいのは、里緒限定だから」 『里緒限定』なんて、 そんなこと言われたら期待しゃうわけで............ 「なんで、私限定なのさぁぁぁ!うぅっ、」 泣きながら声を上げると。 「重たい荷物は半分こ、って約束だから」 いつもと変わらないトーンで放つ志帆。 私の亡くなったお父さんと、 『里緒と重たい荷物は半分こ、してやってくれ』 そう約束した志帆は守ってくれてるだけ。 私のことが好きとかじゃなくて、 〝義務〟みたいなもので、守ってくれてるだけ。 そんな志帆の気持ちが悲しくて..................... 「うぅぅ、志帆のばかぁぁぁぁ!」 そう言いながら、志帆の胸元をボコボコ叩く。 「いや、なんでそーなる!?!?」 「『重たい荷物は半分こ』じゃなくていいっ、」 「いや、里緒のお父さんと約束してるし...、」 「違うっ、うぅぅ、私は、志帆が好きっ、 私のこと、好きになってよぉ、志帆.........っ、」 もう、どうにでもなれっ!と思った。 叶わない〝恋〟なら..................... 「いや待て、なんで先に言った?」 「え?志帆?」 先に.........言った? 志帆の言葉に引っかかっていると。 「20歳になったら付き合って」 そう言ってくれた志帆。 「それまでは、重たい荷物は半分こ?」 「うん。そーゆうこと、まぁ。里緒限定だけど」 〝重たい荷物は半分こ〟 この本当の意味を知るのはもう少し先の話し。 fin.
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