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笑えよ乙女
「ほんっと、笑わないな、お前」
〝笑えない女の子〟で有名な、
私、中嶋美樹(なかじまみき)の目の前には。
〝笑わせたい男の子〟で有名な、
中城三幸(なかじょうみゆき)くんがいる。
私が笑わないとか余計なお世話なのに............
「..................そっちはウザいよ」
そんな事を言うことしか言えない私。
私が笑えないのは、
〝両親が亡くなっているから〟
だから、私は笑えなくなった。
正直、中城くんの存在は大迷惑。
「お前、まじでツンデレというか、クールだな」
私は〝笑わない〟し、反応もしないのに、
めげずに声をかけてくる中城くん。
「...............笑いたく、ない」
これは、私の本心だ。
でも、ほんの少しだけ............憧れもある。
〝誰か〟こじ開けて欲しくて、もどかしい。
そんな私の心を読み取るように...............
──────ムニュッ。
っと、掴まれたほっぺた。
「早く、笑えば?お前は、女なんだから」
そう言ってニヤッと笑っている中城くん。
私が、中城くんのお陰で。
〝笑える乙女〟になるのは、
もう少し、先になるのを私は知らない............
fin.
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