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推薦
残暑が残る風景が少しづつ緑から黄色へと衣代わりしていく平和で代わり映えの無いそんな日常を教室の片隅で静かに過ごすはずだった。
「晴、生徒会長へ推薦されるなんて凄いじゃないですか」
「えぇっ?!ぼ、僕、生徒会長に推薦されたの?!」
「そうみたいですね。」
僕は数少ない友人である優の言葉に耳を疑う。
そもそも、ひっそりと目立たないように生きてきた僕にそんないきなり声がかかることも驚きではあるのだけど…
「うぅ、一体誰が僕を推薦したんだろ?取り下げとか出来ないかな?」
「あの天才と言われている鸚焼さんからの推薦みたいですよ。凄いですね。」
鸚焼 月讀さんは、縁あって一緒に遊んでいたけど、小学生の頃から多彩な能力を発揮し色々な場所で注目を受ける天才で、高校に入学後も、その才能は衰える事を知らず、世界を揺るがす論文を次々に発表していたりと脚光を浴びている凄い人で、小さい頃から近くにいたのに、彼は僕とは遠う世界の人なのだ。
そして、そんな月讀さんが何故僕を推薦したのかが分からない。僕はため息をつき、机に突っ伏して現実から目を背ける。
「うぅ、逃げていいかな……?」
「だめです。」
優は僕の性格を知っているし、普段あまり無理強いをしない。彼の行動に驚いていると、優は話を続ける。
「いいですか?私から見ても貴方は、この学園の生徒会長に相応しいと考えています。」
「どうして……」
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