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「邪魔をさせてもらう。」
威圧感のある低い声と共に突然スパンッと音を立て扉が開く。そこに現れたのは水色髪の赤目と水色の目が印象的な青年で、それと同時にザワザワと辺りがざわめき始める。「あれが天才の?」と言う声や「何しに?」という声が上がっているのに目もくれず彼は僕の目の前に現れる。
「つ、月讀さん……?」
「久しいな晴。少し場所を外して話をしようではないか。」
その瞬間、教室のざわめきが少しだけ止まる。そんな空気に気づいてか、優が月讀さんに話しかける。
「鸚焼さん。晴を連れていくなら私も同行してもよろしいでしょうか?」
「ほう、理由を問おう」
「大切な友人ですので。」
互いに笑顔なのに何故か怖い雰囲気が流れる。数秒の沈黙の後、月讀さんの楽しげな聞こえる。
「気に入った。一緒に着いてくるが良い。」
「は、はぁ」
拍子抜けの言葉に困惑しながらも僕と優は月讀さんの言う通りついて行く。
「ここだ」
「体育館ですか?」
「そうだ。晴を推薦したのはいいが、少しやるべき事があってな。代わりに教えてくれる奴を呼んでおいた。」
昔からこうやって無茶ぶりをしつつ、算段だけは考えてくれる。そんなあの頃と変わらない姿に少しだけ安心する。僕の考えてることに気づいたのか月讀さんが突然僕の頭を撫でる。
「わぁ!?」
「いきなり何してんだアンタ!?」
「昔からこうやって晴の頭を撫でるのが癖でな。それより優とやらは、やはり演技だったか。」
優は周りにあまり見せることのない素の部分を見られ、一瞬やべっ……と言う顔をした後笑顔に戻る。
「何言ってるんですか、こちらが素ですよ」
「「ダウト」」
「え?」
月讀さんと声が被り声が聞こえてくる。誰かわからない声に僕と優はキョロキョロと辺りを見渡すが、誰もいない。
「月、もう出てきても良いぞ。」
月讀さんの合図と共にピンク髪の大人しげな雰囲気の青年が壇上から降りてこちらへと向かってくる。
「月です……よろしくお願いします。」
月と言う青年は、人あたりの良い雰囲気で僕達に挨拶をくれる。
「月くん、男の子にしては珍しい名前ですね可愛いなぁ」
「ふむ、お前達は相性ピッタリだな。後は頼んだぞ、月」
「え?俺……?」
何を根拠に判定をしたのか分からないまま、月讀さんは体育館を去る。取り残された僕達は気まずい雰囲気のまま話始める。
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