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リアは大きく目を見開き、目の前の少年を凝視した。
「ん?」
「あなたと、約束した⋯⋯? だから、昨日⋯⋯あの時⋯⋯」
「ペアラ⋯⋯?」
「今、頭の中で⋯⋯」
大きく目を開いて戸惑うリアの肩を持ち、アリッサは自分を思い出したのではと微かな希望を抱く。
リアは額に手を添えて狼狽えるが、すぐにペアラの記憶だと察した。他にも何か思い出せるのかと期待したが、それ以上何も思い出す事は出来なかった。期待を寄せるアリッサに、その記憶の断片を話すと、少し寂し気に笑みを浮かべた。
「この子にとっても、あなたにとっても、とても大切な存在だったのね⋯⋯。なのに⋯⋯、あたし⋯⋯」
二人が特別な感情を抱き合う仲だった事が判り、リアはとても申し訳ない気持ちになる。
(目が覚めたら⋯⋯)
せっかく目が覚めて再び会話が出来たと思ったら、少女はペアラとしての記憶を失ってしまった。それどころか、別人格として目覚めてしまった。
どれだけ眠っていたのか定かではないが、待ち焦がれた相手に自分のことを綺麗さっぱり忘れられたアリッサの心情を思うと胸が痛くなる。
「⋯⋯リア?」
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