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少女の髪を掴んでいた兵士は、そのまま少女の頭を地面に叩きつけ、俯せになった少女に対して苛立たしげに「ええい、跪かんか! 王子殿下の御前だぞ!」と叫んで少女の顔を強制的に上げさせた。更に頭皮を引っ張られたその顔は苦痛に満ちており、涙と土埃で汚れていた。
「アリッサ王子殿下! 何故このような⋯⋯?」
後ろに控えていた別の兵士が問いかける。少年は更に怒りを露わにして答えた。
「僕がここに居たら不自然なの?」
少年の王子は腕組みをし、ツンとした表情で跪く兵士達を睨めつける。
「いいえ、とんでもございません! 不審者を発見した為、捕らえていたところでした」
アリッサは、手前で跪く兵士に髪を掴まれている少女を一瞥する。そして、それに向けて指をさした。
「ねえ、いつまで人のものに触ってんの?」
「⋯⋯は?」
その問いに、兵士達は皆呆けてしまってポカンと口を開ける。アリッサが指した〝もの〟は、たった今捕らえたばかりの少女である。
「いつまで、僕のものに触ってんのかって聞いてるんだけど?」
「し、しかし⋯⋯」
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