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「浮気男のあそこを蹴りあげて踏んづけただけよ。それに関しては、現実じゃなくて良かったとは思うかも──いや、記憶にあるだけにカウントに入るのかな⋯⋯?」
青ざめた顔のままのアリッサに抱きすくめられたまま、リアは人差し指を顎に当てて片眉を顰める。
リアの被害に遭った同性の痛みを想像しただけでも恐ろしいが、何が怖いって、さっきまで自分の腕の中で泣いていた女の子の口から、とんでもない言葉が出てきたのだ。伊達に人生を歩んでいたわけではなさそうである事は、アリッサも察した。
「でも、本当にごめんね⋯⋯。あなたはペアラを待ってたはずなのに、別人格のまま──」
その言葉を遮るように、アリッサはリアの頬に添えた手でグイッと引き寄せてその唇を塞いだ。そっと離した後のリアは、まだ状況が把握し切れておらず、数秒程呆けた後になってこれでもかという程目を見開く。
「くどい。君は君のままでいいって言ったでしょ。もう忘れた?」
「でも⋯⋯、でもね? あたし自身も不思議なのっ。
だって、今日会ったばかりの子によ?
今もこうして抱き締められて、まったく嫌な気にもならないの。むしろ、落ち着くのよ!
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