7人が本棚に入れています
本棚に追加
アリッサが部屋へ戻ると、ベッドにリアの姿はなかった。心臓が飛び出るほどドキリとして部屋中を見渡しても見当たらない。
「リアッ!」
寝室のバルコニーが開いていたが、そこにも居なかった。まさか心痛のあまり飛び降りたのではと、心臓を鷲掴みされる思いで下を見るが、茂みと植木があるのみで安堵する。
「アリッサ?」
ふと隣から声がして、そちらを見ると、パチクリとした目でリアがこちらを伺っていた。
(隣の⋯⋯、居間⋯⋯)
アリッサはすぐさま寝室の隣にある居間に駆け込み、そちらのバルコニーからキョトンと姿を現すリアを抱き締めた。
「⋯⋯っ! ちょ、アリッサ!?」
(良かった⋯⋯っ、良かった⋯⋯!)
アリッサは一頻り抱き締めると、気を取り直して身体を引き離し「すまない⋯⋯」と謝罪する。
「朝食をここへ運ばせるようにしたから、一緒に食そう」
まだ顔色が青ざめているアリッサを見つめながら、リアは「うん⋯⋯」とだけ頷いた。
先程バルコニーから見たアリッサの動揺っぷりを思い返すと、よほど心配したのだと見て取れた。
最初のコメントを投稿しよう!