12話 2人で朝食を

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12話 2人で朝食を

 運ばれて来た朝食を口にしながら、アリッサは内心で何度目かの大きな溜息を吐いた。円形の卓上にはふっくらとした甘みの強いパン、産みたての卵を使ったスクランブルエッグにサラダ、スープと甘辛く似た肉の塊を薄切りにしたシャーシューが並べられていた。これがいつもの朝食だ。通常ならば、リアも同様の食事が並べられるのだが、長年胃を休めていたので、栄養がありながらも消化に良いフレンチトーストとサラダを用意させた。  リアはフレンチトーストが好きなようで、目にした瞬間に明らか目が輝いていた。アリッサの目の前にはゆったりと座り、景色を眺めながらフレンチトーストを頬張る。食器の使い方はこちらの日常と変わらないらしく、じっと見ていると「小さい頃、よく記念日にちょっと良いレストランに行ってたのよ」と懐かしむように言った。  夢の中では結婚記念日というものがあるらしく、両親の祝いに加えて家族の誕生日や祝い事があると、そういう所に足を運んでいたらしい。
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