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リアは、アリッサが部屋を出てから歩き回る程の余裕が出てきたらしく、居間に通じる扉が気になったという。風に乗って香る緑と街並みを見ていると、つい時間を忘れていたそうだ。
そして、アリッサの心中を察したように、ポツリと口にした。
「大丈夫よ、あたし自殺願望はないから」
フレンチトーストの最後の一切れを頬張りながら、リアは言った。遠くを見るような、物思いにふけるように伏せ目になり、どこか懐かしむように笑みを浮かべて言った。
「⋯⋯前世の友達とね、約束したの。あ、夢の中の〝前世〟ね」
「約束?」
小さく頷いたリアは、少し俯いて噛み締めるように言った。
「あたし、その子に酷い事したから。だから、あたしはその子の分まで生きるって誓ったの。どんなに悲しくて辛くて逃げ出したい時があったとしても、自殺はしない⋯⋯って。
その子は、そこまで望んでなかったけどね。あたしなりの償い」
「そこまで誓う程の事をしたの?」
一体どんな事をしたのか気になって聞いてみた。償いということは、それ相応の罪を犯したと匂わせてるようなものだ。
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