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少年は少女を抱き起こしながら、先程まで少女の髪を掴んでいた兵士を指した。
「公爵令嬢と知らなかったとはいえ、直接手を出したあんたは許さない。ムチ打ち百回の刑で許してあげる」
〝公爵令嬢〟と聞いた途端、その場に居た兵士達は顔面蒼白になり、ムチ打ちを宣告された兵士は特に恐怖で顔を引き攣らせた。公爵ともなれば、王族に系譜する身分の称号である。通常であれば、式典などでなければ、この場に居る兵士達は目にすることも叶わない。
「連れてけ!!」
いつの間にか後から来ていた他の兵士二人が、少女の側に居た兵士を両脇から挟み、強制的に立ち上がらせる。
「も、申し訳ございませんでした!! どうか⋯⋯、どうかご慈悲を⋯⋯!」
「死刑じゃないだけ、マシだと思いなよ」
兵士はそれ以上何も言えず、少年の合図で連れて行かれ、他の兵士達も退散して行った。
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