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「とりあえず、ここじゃあ話はしずらいから、移動しよう。立てる?」
少女はアリッサの手を借りて立ち上がろうとするが、全力疾走した足は力が入らず、座っている事が不思議なほど、腕もプルプルと震えて力が入らない。それでも片膝を付けて勢いに任せて無理に立とうとしたが、よろめいてしまった。それどころか、足の裏が出血していて酷く痛い。咄嗟に支えたアリッサは彼女の膝と背中に手を添え、そのまま軽々と持ち上げた。
「ひゃあ⋯⋯っ」
「ほんと、酷い目に遭わせてごめん⋯⋯。後で足の治療をさせよう」
思いもよらぬ事に驚き、自分でも驚く程の高い声が出た。いったいこの華奢に見える少年のどこに、一人の人間を軽々と持ち上げられる力があるのか不思議だった。
そして、アリッサの顔がより近くになり、急に恥ずかしくなって思わず俯いてしまう。
(お、お姫様抱っこ⋯⋯っ。しかも、あの時はそんなに意識してなかったのに、なんで今こんな意識しちゃってるの!? 乙女かよ、あたし!)
「しっかり捕まってないと、落ちるよ?」
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