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「見て──」  知世がメニューの表紙に乗せた左手を素早く扇形に180度動かして手の平が上になるようにしてテーブルの上に置いた。するとメニューの表紙も追随して開いた。 「ひっ!」 「凄いでしょ」  …… 「そんな手には乗らないよ。手汗まみれのベタベタな手の平が張り付いて開いただけだろ」 「バレたかテヘ」 「フッ」  どこでも能天気と言うか肝が据わっている知世の事を私はとても気に入っている。そして今のようなバカげた行為が私の緊張をほぐした。 「さて、何を食べようか」 「モンブランはあるかな~」
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