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私たち二人は美術部員なのでこの羽ぼうきと同じような物を持っている。
持っているがその用途はせいぜい夏の暑い日にパタパタしたり誰かの鼻の穴にフリフリしてくしゃみを誘うかくらいである。
そんな羽ぼうきだが本来の用途については顧問の先生にそれとなく聞いていて知っていた。どうやらデッサンの時に消したゴムのカスを取り除く為の物であるらしい。
だが我が部では顧問の意向で、消しゴムは使うな! 集中して描けば正しい線がおのずと導かれるはずだ、消す線など1本も無い、と言った方針なので正しく羽ぼうきを使った事が一度も無いのである。
「この場合は何に使うのかしら?」
「分からんな、だがヒントは有るぞ」
「どこに?」
私は羽ぼうきの下に敷いてある黒い紙が単に下敷きとして置かれたのでは無い事に気付いていた。
「下に敷いてあるのって多分説明書だぞ」
知世が羽ぼうきの下に敷いてあった黒い葉書サイズの紙を手に取ると二つ折りになっている事に気付いた。開くとピンクの蛍光ペンで意味不明な内容が書かれていた。
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