遠い日の出来事

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遠い日の出来事

何年も経ち、茶色くなりつつある沢山の手紙達。 大切に集めて今でも持っている。 人生で初めて出会った、とてつもなくピュアな人。 いつも笑顔で迎えてくれた。 なにもせずにただゴロゴロして、同じ時を過ごした。 一緒にドライブ行こうねって笑顔で言った。 ブラコンで、お兄ちゃんの写真を半ば無理矢理見せられ、ちょっと困惑した。 なんでもない平和な時間。 ある日、それが凄く貴重な物だと気づかされた。 まさか突然いなくなるなんて、当たり前に予想なんかしてない。 嘘だ、行かないで。 でもあなたは行ってしまった。 行かなきゃいけなくなった理由は、あなたにとっても青天の霹靂な出来事で、あなたは泣く泣く行く事を強いられた。 心が抜け殻みたいになり、涙が零れ出していた。 遠く離れた所へ行ってしまったあなた。 自分もそっちに行こうかと思ったけど、勇気がなかった。 だから無事を願うしかなかったが、まだネットの普及してない時代だから、手紙でやり取りをした。 遠いのに、たまに電話をしてくれた事もあった。 あなたは手紙の中でもわたしをあだ名で呼ぶ。 なにも変わらない。 明るくピュアなあなた。 プレゼントと共に写真を贈ってくれた時は、嬉しくて思わず写真に見入っていた。 何年もやり取りして大量の手紙が溜まった頃、あなたは新しい家族を作り、生活に追われて徐々に疎遠になっていった。 けれど、わたしは決して忘れない。 あなたと過ごした日々を。 可愛い手描きの絵が描かれた手紙がくる度に、わくわくした事も。 沢山のくすんだ手紙達はわたしの宝物。
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