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2nd.息子の場合
『母からのお願いです、一葉。
大特売の玉葱一袋50円が“スーパーてんこもり”で16時半から始まります。買って来て下さいね。バニラアイスの購入はご自由にどうぞ』
期末考査につき帰宅時間が最速。
サッカー部主将の息子に、ピコーン♪とスマホの通知を鳴らしたのは16時20分だった。
「マジかよ…! てか、バニラアイス奢りって神?」
ダッシュすれば指定のスーパーまでは8分。
サッカー部で鍛え上げた足がモノをいうのを、通知先の母は先読みしている。
「オーケー! 俺に玉葱は任せろッ」
猛然とダッシュして“スーパーてんこもり”に到着した時刻は16時25分。上出来だ。
「はぁ……はぁ……。売り場ってどこ?」
キョロキョロした先には群がる人集り。あそこだな!と目星を付けたところで、サッカー部で鍛え上げた足は途端に無力化する。
“スーパーてんこもり”には百戦錬磨のシニアと主婦達が爪を研ぎながら隠れ潜んでいたのだ。出遅れた者を迎え入れてくれる優しさは無い。
「店頭の特売セール開始しまーす!」
店員の声から始まり3分と経たずに特売の玉葱は跡形も無く消えた……。
目の前で消えた玉葱に一葉は絶句する。
"任務失敗"
母にメールを送りながら「クソォォォーッ」試合で負けた時よりも一葉はしょぼくれた。
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