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 家に着いてシャワーを浴びたところで朝日が昇った。朝夕は快適な初夏の陽気に窓を全開にして眠りにつこうとしていた。  うつぶせになって目を閉じたところでスマホのバイブ音が鳴り、地味にシーツの上を移動していく。眠りたい気持ちが勝って無視を決め込もうとしていた。それなのにスマホはいつまでも移動を止めない。 「あー、なんだって言うだよ!」  悪態をつきながら画面を見れば実家からだった。 「もしもし」 「ああ、出たわ。おじいちゃん入院したのよ。〇〇医大病院ね。あんたも早く来なさい!」  母は名乗ることもせず、細かなことも話さず最低限のことだけ言うと電話を切った。 「まじかよ……」  故郷まで電車で二時間。急いで帰ったところで高齢の体が待っててくれるとは到底思えない。頭を掻きむしると、唸り声と共に立ち上がった。間に合わなくて後悔するのも嫌だった。夜中に思い出すのはあのことだけでいい。何個もあったらもう不眠症になってしまう。
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