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 紗夜とはファミリーレストランで別れ、爺さんの様子を見に戻ると、やはり心配するほどではない元気の良さだった。 「なんだ? 戻ってきたのか? 帰ったとかぁさん言ってたぞ」  老眼鏡を外すと顔を上げて「あ? その顔なんだ? お前は顔だけは一人前だったつぅのに」と、憎まれ口を叩く。 「アレルギーかもな。急に目が腫れちゃってさ。それよりさ、爺さん退院したら俺、お祝い飯作るから楽しみにしといてよ」 「なんだお前、料理出来んのか」 「まぁな。鯛でもなんでも捌くからさ。美味すぎて腰抜かすなよ? だから早く退院してくれよ」  ちょっと照れ臭くなって立ち上がる。 「俺は美味くないと食わねぇぞー」  背を向けて「はいはい」と答える俺だった。
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