堕天使

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ユリアナの前でだけ感情のないふりをし、いないときはここぞとばかりに人間への興味を爆発させていた。 エリアスの興味を止める者がいない務め場で、エリアスはついに天使にあるまじき思考を持つようになった。 「ボクも人間になってみたい」 感情を持つことが普通でむしろ感情に乏しい人間は、人の心があるのかと怒られるような世界。 感情のある自分にならきっとこの世界で馴染めるとさえエリアスは思っていた。 もっと近くで人間がもつ感情に触れたい。 どうすればそれが叶うのか。 天使が持ってはいけない夢を抱いたエリアスは、それが罰せられるほど罪なことであるとを分かっていた。 バレたら怒られるどころでは済まない。冗談でもそんなことを口にすることは許されない。 エリアスは努めて自分に感情がないようにふるまった。 特にいつも近くにいるユリアナには悟られないように気を付けた。人間に興味のないふりをした。 むしろ今までと様子が変わったエリアスに、ユリアナが気づかないはずがなかった。 面倒見のいいユリアナは、エリアスがある時から人間に向ける眼差しに何の感情もこもっていないことに気が付いた。 天使であればそれが普通。 しかしエリアスに至ってはそのほうが異常なのだ。
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